クールジャパン・シンポジウム2020 開催結果概要
COOL JAPAN SYMPOSIUM 2020

令和2年10月22日(木)、様々な分野でご活躍されているクールジャパン分野に知見を持つ有識者をお招きして、新型 コロナの流⾏により、デジタル化・オンライン化の進展等、社会様相が⼤きく変化している中で、クールジャパン関連分野が新型コロナによる厳しい状況を生き抜き、新型コロナ後において再び⽇本のソフトパワーの強化をもたらす⽅策について、基調講演と パネルディスカッションによる議論を行いました。

基調講演講師・
パネリスト
渡邉賢一
株式会社XPJP
代表取締役
バリュー・デザイナー
パネリスト
ジャスティン・ポッツ株式会社ポッツ家
プロダクションズ
代表取締役
杉山 尚美
株式会社ぐるなび 理事
LIVE JAPAN 企画部
事業推進副セクション長
玉置 泰紀
株式会社KADOKAWA
2021年室
エグゼクティブプロデューサー・担当部長
夏野 剛
慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科
特別招聘教授
深堀 昂
avatarin株式会社
代表取締役
CEO
モデレーター
田中 茂明
内閣府
知的財産戦略推進
事務局長
基調講演
「SBNR視線で紡ぐクールジャパン新時代の可能性」
地域のインバウンド向けのデザインを多数手掛けてこられた講師の渡邉氏から、2020年代に世界のマーケットが求めるニーズを理解して、価値を生み出していくマーケットイン型の思考としての「SBNR」についてお話いただきました。
「SBNR(スピリチャル・バット・ノット・レリジャス=無宗教型スピリチュアル)」という精神的な体験を求めるニーズに対し、実際に手掛けた事例をつうじて、地域それぞれ独自の体験を提供することの重要性と、実現の手法についてうかがいました。
パネル
ディスカッション
「新型コロナの影響とそれを受けたクールジャパンの取組の在り方」
WITH/AFTERコロナの時代に、世界の人々の行動や思考等が変わっていく可能性があることをふまえて、クールジャパン戦略をどうしていけばよいのか、今どうなっているのか、これからどう在るべきかという議論に向けて、事例発表からスタートしました。

Sake Future Summit 2020:
(株)ポッツ家プロダクションズ

日本酒と焼酎の情報を英語で世界配信する番組「Sake On Air」が、YouTube Liveにて、業界最前線で活躍する国内外のゲストを招き、英語によるパネルやプレゼンテーションのライブ配信と日本語の映像にて、世界に向け日本酒・焼酎の未来を描くプログラムを発信した。ポッツ家プロダクションズからは、企画、運営、総合プロデューサー、共同ホストとして参加。

ぐるなび外国語版:(株)ぐるなび

食材、調味料、調理方法を、日本語登録するだけで、「メニュー情報一元変換システム」(特許取得済み)により、自動で英語・繁体字・簡体字・韓国語に変換して、豊富な画像とともに外国人向けに発信できる。

北斎ゆかりの地を巡る“リモート”旅:(株)KADOKAWA

北斎生誕260年記念事業として生誕の地・墨田区が開催した北斎ゆかりの地をガイドが訪問先から生中継するリモート参加型ツアーを運営した。ツアーを紹介したシンポジウムは、記録視聴を含めると8千名、うち10%は海外から視聴した。

アバターロボット「newme(ニューミー)」: avatarin(株)

ANAのグループ会社として、スマホの遠隔操作によって動き、会話するアバターロボットを開発。空港での接客だけでなく、リモートでの買い物や観光など、誰でもどこからでも、多目的に利用できるプラットフォーム、サービスを目指している。

事例発表をふまえて、その他のパネリストからも、WITH/AFTERコロナの時代のクールジャパン戦略の在り方について、ご意見をいただきました。

夏野 :日本は、コロナ禍が終わったら行きたいところのナンバーワンになったと報じられた。評価されたこの機会に、インバウンドを阻害している規制等を改善すべきだ。ただし、改善すべきなのは、入国や放送・通信をはじめとする制度やフォーマットであって、コンテンツではない。豊かな国内市場を背景にしたコンテンツには、すごいコンセプトが山ほどあるのに、フォーマットが阻害している。コンテンツの多彩さや深さを統一するのではなく、フォーマットの環境整備が必要とされている。

渡邉:コロナのビフォーとアフターを考えると、交通などフィジル・ファーストの時代から、ブレイン・ファーストの時代への変化だと思う。世界の全ての人たちがつながっていく時代に、脳に働きかけるプロデュースが必要とされており、プロデューサーの能力をスキルアップする必要がある。

田中:WITH/AFTERコロナの時代に、デジタルの技術やメディアを使って世界に発信できることは、危機ではなくチャンスでもある。しかしデジタルを使うこと自身が意味があるのではなく、日本が培ってきた究極の価値や本質を見失わずに、ストーリー性や精神性を持って分かりやすく外国に伝えていくことに勝ち筋があるのではないか。特に分野間の連携は大きな力になるので、様々な他業種の方々と新しいアイデアを練っていただきたい。

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